Jul 23 2008

ローマでのリーガルウェディングに至るまで・・・最終章

こんにちは、海外ウェディングコーディネーターの林です。
先日のローマウェディング(予約のいきさつ)の続きです。
さて、予約帳の確認はできたものの、29日は手ぶらだったので、
さほど収穫もなく、3月4日に到着した書類を前に早速頂いた名刺宛に連絡します。
日本ではよほど親しい仲や緊急の場合を除き、大抵はメールでアポを取ったり、
連絡を取るのがいまや一般的になってきました。
その常識を考え、そのメールに書類が着いた旨、アポを取りたい旨、を打診しました。
個人(?)メールだし、早々に返事はないだろうな。。。と思っていましたが、
案の定、全く連絡なし(涙)
すぐに催促するのも悪いし。。。、また3月中旬にウェディングのアテンドがあったため、
私もすぐに伺えないというのもあり、先日伺ったときの緩やかな空気に甘え、
3月も20日を過ぎたころ、やっと催促のメールを送るものの、相変わらず連絡なし。
さらに今年3月下旬にイースターがあり、イタリアは一気に祝賀モード。もちろん市庁舎は休み。
そのため、3月のギリシャでのウェディングを終えて、落ち着いた時点で、携帯に電話をしました。
「あ~~~、覚えているよ!今ローマは首相の選挙(冬に旧政権が倒れたため、選挙が急遽決まった)
だから、うーーーん、かなり忙しいんだよね。選挙が終わった頃に来たらどう?例えば20日とか?」
「そうですね、でも20日ですと1ヶ月切っているのですが、大丈夫ですか?結婚式は5月17日です。。。」
「そっか、じゃあ4月17日に来たら?」
「了解です。では17日に伺います」
選挙で忙しいって結婚式部門って何に関わるんだろう?まあ首相有力立候補者の一人が
現ローマ市長ということもあり、まあローマ市庁舎はバタバタしているのだろう・・・と
無理やり自分を納得させ、15日も先にある4月17日を待つことになりました。
さていよいよ17日に近づいてきた時点で、相手がこの約束を覚えていないことはかなり明確。
したがってリマインドの電話をするか迷いに迷って・・・結果あえて電話しないことを選びました。
理由はまた電話をすれば、明日は忙しいだの、と先延ばしされるのは目に見えているもの。
ところがこの作戦が凶となってしまうのです・・・。
4月17日、朝一の電車に乗り、80E(往復)を払ってローマに向かう私。
そしてローマ市庁舎に早々に乗り込み、担当者とのアポがあることを伝えると、
「え?!彼はいないよ、28日に戻ってきて」とのこと。
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~?!約束があるんですけれど。。。
どうやらバケーションらしい。10日近くものバケーション、
たった15日前に私が電話したときは全く計画していなかったのだろうか?
往復80Eも払った私としては、当然引き下がるわけにはいかない。
食い下がり食い下がるものの、「そんなこと言われても、彼しかわからないもの。
シニョーラのお気持ちは非常にわかるのですが・・・」とため息。
どうやら彼(担当者)はこういうことが日常茶飯事の常習犯らしいというのは
目の前の初老の男性の表情から痛いほど読めた(笑)
「誰でもいいので、書類を見てください!」
おじいちゃんとも呼べるその方は全力を尽くしてくれた。
探してくるね。。。と廊下を一周して戻り、「やっぱり誰もいない・・・」と力なく言う。
絶対誰にも聞いていないだろうな・・・と思った私は、書類を開き、
「ほら大使館のお墨付きがあって、ここにXXがあり」と熱弁したら、
ちょっと待って、とおじいちゃまの目がキラリ。ん?進展??
彼が1枚の書類を持って現れ、「前に日本人の結婚式をしたんだけど、
これがその書類なんだよね。。。、でも君のと違うね。」
しーーーん。見せてもらった書類はイタリア大使館のサインもはんこも全くない、
5分もらえば私でも作れそうな書類。どう見たって私の書類の方が貴重そうな雰囲気をかもし出している。
なのに、なのにっ 彼は「これと同じじゃないと、僕は君の書類じゃダメって言うしかないな。。。」
一度NG出された書類は恐らく二度と目を通してもらえない可能性がかなり高い。
冗談じゃないっ。10万も払い、日本から何度も電話し、ローマを何度も往復し、
何の収穫もない、何よりもお客様になんて言えばいいのか・・・。
彼の方が1枚上手だったようだ。致し方ない。
「いえ、やはり仰るとおり、28日以降に戻ってまいります。」とすごすごと帰ってきました。
しっかし腹の虫が収まらない。イタリア人の友人に電話して事情を話すと、
ローマ市庁舎と仕事するのが悪いんだよ!
全然慰めにも何もなっていない。。。 
日本人の友人に電話して、やっとやっと理解・同調してもらって
何とかフィレンツェまで帰る気力を編み出しました。
すごすごとフィレンツェに戻り、10日ほどまた悶々と待つ日々。
待ちに待った28日。さてどう切り出すか。
大いに文句を言うのも手。しかしここは私の交渉術として、
相手に絶対的な非がある場合、最初は同じステージで戦わないというポリシーに従い、
「17日にお約束をしたと思っていたんだけど、行ったらいらっしゃらなかったから、
再度約束をとりたいのですが・・・」と丁寧に切り出すと、
どうやらあのおじいちゃまが彼にお灸をすでにすえてくれていたみたいで、彼はかなり神妙。
「あ~~~、ごめんね。あ、あの件ね。わかっているよ。今週ならいつでも大丈夫だよ。」
「では金曜日はどうですか?心配なのは遅すぎて書類に不備があった場合、直す時間があるかどうかということなのです」
「大丈夫、大丈夫、それは心配しないで。ただフィレンツェを出る前に再度電話くれる?」
大丈夫、前回痛いほど学びましたから・・・。
そして最後に信じられない言葉が・・・
「もし時間があるんだったら、ランチでも一緒にしよう」
ううう、これはちょっと行き過ぎ?危ない香りがぷんぷんします。
「そうですね、それはぜひ。ただ金曜日も忙しいので、ちょっとはっきりわからないのですが」
と釘をさしておいた。ま、どうせ金曜日には覚えていないだろうけど。
イタリアは本当にセクハラという言葉が存在しないほど、誘惑が多い。
結婚していようがしていまいが、チャンスがあれば。。。という感がある。
もちろん堅いお方もたくさんいらっしゃるのですが・・・。
そして金曜日、駅から電話を入れると12時半以降なら会えるよ、と。
よし、これで遅い時間ならランチを断る理由はいくつでもあるし、12時なら市庁舎も閉まっていて、
さほど邪魔も入らないし(市庁舎の結婚部門はいつも人が待っていて落ち着かない)、ちょうどいいや。
そして、12時ごろから市庁舎で待機。担当者に電話し、OK、あと10分待って、
10分待って、そして13時ちょっと前。彼がアタッシュケースを持って登場。
今ご出勤?そんなこと気にしても仕方がない。
「あと一つ仕事を終わらすから、その前に僕の同僚に説明しておいたから、
会計を先に済ませてもらえるかな?」
もちろん!一つはお金を払うというのは最終段階だ。
恐らく書類は問題なく通すつもりらしい(当たり前だっ)。
喜んで手続きを踏む。あー、またあのおじいちゃま。。。だ、なんて思っていたら、
どうやら再度トラブルらしい。キャッシャーは13時に閉まってしまうので、間に合うかなぁ?
今日受け付けてもらえないかも?!
新郎の名前は?日本語の名前は聞きなれない、地名も聞きなれないので、やたら時間がかかる。
もう一人そこにいた女性とおじいちゃまのペンを持つ震える手を見ながら、
会計の伝票みたいなものをもらい、市庁舎をダッシュ。
あれだけ時間があったのに、なんでこうなるの?二人で超走りまくり。
また市庁舎がわかりづらい、階段をダッシュ、そっちじゃない、こっちじゃないと散々たらい回し。
やっとたどり着くと、もうすでに13時をまわっている。
もしこれで受け付けてくれなったら。。。なんて思っていたら、担当者は男性。
女性二人というのが功を奏したのか、イタリアではないくらいに、迅速に対応してもらえました。
改めて一緒に走った彼女とたどたどしいイタリア語で話していると、なんだアメリカ人!
彼女も同業でローマをベースにしているらしく、思いがけずこんなところでコラボレーションが!
(お陰様で彼女に紹介して頂いたアメリカ人のトスカーナウェディングを手がけることになります)
彼女とは連絡先を交換し、そこでお別れ。いよいよ担当者による書類のお目通しです。
彼は拍子抜けするほどパラパラっと見て、OK!と。
そして、宣誓の儀式の日程を抑えて下さいました。
今までは私一人だから1時間くらい待つのは致し方ないけれど、次回からはお客様が一緒。
約束すっぽかしもありえないけれど、待たされるのもできれば避けたい。そこで、
「今度の宣誓のときは翻訳者を雇わなくちゃいけないので、時間を守っていただけますか?
でないと、時間でお金を払うので倍になってしまうのです(若干嘘)」と。
「通訳者なんていらないよ、僕が英語に直して、君が日本語に直せばいいよ」
本当?これでこの間の無駄な電車代の80Eの少しはペイしてくれる!
恐らく担当者もこのことが頭にあったのでしょう。
やはり電話のときに怒らなくてよかった。。。
そして無事に公に市庁舎の予約が取れ、当日を迎えることになります。
ちなみに宣誓の日、彼は全くその場にいなく、おじいちゃん一人。
おじいちゃんのイタリア語を汗ダラダラで訳す私。担当者の言うことを信じた私が馬鹿だった。
最後までおじいちゃんにはお世話になりっぱなし。
当日も担当者はちゃんと責任を持って行くからね、じゃ、土曜日!といっていたけど、
当然いるわけがないし、おじいちゃんがにこにこと私たちを迎えてくれ、お客様と苦笑しました。
ウェディング自体はかなり準備に時間がかかったわりには、かなりサラっと終わってしまい、
なんだかあっさりしていたけれど、お客様はやはり歴史のあるローマのカンピドリオ
真紅の間で挙式されたことにすごく満足してくださって、
あのバタバタの騒動も心から癒された瞬間でした。
そして挙式もフォトツアーも無事終わった日曜日、お客様とローマからフィレンツェに向かう車中、
例の担当者から昨日は大丈夫だった?と電話が。全て経緯をご存知のお客様と
どこまでも調子の良い人だね、と大爆笑でした。
そう、興味深い彼の発言に、「日本ってすごくきちんとしているんだって?
僕もそういうところで働きたいなぁ。」
「そっ、そうですね・・・」なんとか「あなたみたいな約束を守らない人なんていませんからね~」と
口から出そうになるのを抑え、笑顔を作るのに必死でした。

© 2005-2024 le Maestro. All Rights Reserved.

本サイト及び弊社ブログに掲載されているお写真及び著作物は全てにおいて無断での引用・転載をお断りしております。必ず弊社にお問い合わせ下さいませ。